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Jose

2006年08月21日

僕が客室乗務員だったときの話 【序章】合格通知


序章

合格通知
12月、俺の住んでいた大阪の風呂無しアパートに一本の電話が掛かってきた。 月3万円の大阪「新世界」にあるこの巨大アパートには各部屋に電話はない。 
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その代わりに1階の大家に電話が掛かってきて、館内放送で呼び出し、住民は急いで大家の所に行く仕組みになっていた。 当時でもこんな所は珍しかっただろう。 「○○○号室の××さん、お電話です。 1階事務所まで来て下さい」といった感じだ。 もちろんその声も、デパートの案内嬢の声ではない。 オバちゃんのチョット面倒臭そうな声だ。

いつものように急いで1階に下りて電話を取った。 声の主はあの航空会社の事務の人だった。
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「藤原さんですか? おめでとうございます。 客室乗務員の最終審査に合格しましたよ。 詳しい資料をお送りします。 出発希望港は板付空港(福岡空港)ですか、関空ですか?」

俺は天にも昇る思いだった。 「この便所無し・風呂無しの3畳一間の生活から抜け出せる。 これからはスチュワーデスともたくさん知り合えるし、これからはカネを貰って海外旅行ができる。」

しかし「幸せ」というのは「遠足」みたいなもの。 遠足自体も良いが、何より行く前の日までが楽しみなんだ。 そして幸せは「遠足」が終わるとともに終了する。 だからと言って、これらの行為が無駄なわけではない。 この幸せのために人は努力をする。 そして人はこの「幸せ」な時がなければ生きていくことはできない。
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香港での研修は4月か5月辺りに始まるので、追って伝える、とのこと。 嬉しくて、さっそくお袋と親父に電話した。 ずっと後で知ったことだが、今採用の競争率は過去最高の150倍を越えていたらしい。 昭和40・50年代生まれの第2次ベビーブームの俺達の世代が、日本で一番人口が多いからだろう。 しかし競争率が高くてもベストの人間が選ばれるわけではない。 企業風土に合致する人間が選ばれるだけなのだ。





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