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2008年03月15日

済/第9章 質権(342〜368)

●質権の設定の効力はどうすれば発生する?
「今日は分らんことバッカりやな… 適当に答えとこう。
『債務者が債権者に借金の保証として所有物を渡し、債権者がこれを占有したとき。』」

正解:
債権者に目的物を引き渡す
「大体、正解やろ… 『目的物』やな。 双務契約のときは『目的物』っていうんや。」
第9章
第1節 
総則
(質権の内容)
第342条 
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
(質権の目的)
第343条 
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
(質権の設定)
第344条 
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
(質権設定者による代理占有の禁止)
第345条 
質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
(質権の被担保債権の範囲)
第346条 
質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
(質物の留置)
第347条 
質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。
(転質)
第348条 
質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
(契約による質物の処分の禁止)
第349条 
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
(留置権及び先取特権の規定の準用)
第350条 
第296条から第300条まで及び第304条の規定は、質権について準用する。
(物上保証人の求償権)
第351条 
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。


●○か×か?
差押えが禁じられている物には、質権を設定することはできない。
==>× 誤り
「なるほど… 差押えが禁じられている物でも、質権を設定することはできる、ってことか… 例えば、住んでいる家自体を差押さえられなくても、銀行なんかが抵当に入れている、ってことかな?」
(質権の目的)
第343条 
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
「だいぶ探しましたが、差押えと質権の関連性が明記されている条文が見つかりませんでした。 すると、「2006年版行政書士過去問マスターdx2〔業務法令編下〕」にはこんな解説が…
『質権は、譲渡が可能なら、差押えが禁じられていても、質に入れることはできる。』
条文に明記されてないのなら、判例にあるのかな?」


●【記述式問題】
AはBから金銭を借りるにあたって、指名債権の性質を持つ預託金会員制ゴルフクラブの会員権を、Bに現実に引渡して質権の目的とした。
当該質権設定を第三者に対抗する為に満たす必要のある要件について、ゴルフ場経営会社をCとして、民法の指名債権質に関する規定にもとづいて、40字程度で記述しなさい。
「質権自体に先取特権とかあったんじゃなかったっけ… なんかあるとすれば、確定日付とか… あぁ、解んねぇ…
『確定日付付でゴルフクラブ会員権を質権の目的物とすれば第三者に対抗できる。』」

ヒント:
(指名債権を目的とする質権の対抗要件)
第364条
指名債権を質権の目的としたときは、第467条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
(指名債権の譲渡の対抗要件)
第467条
1 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
「なんかよく解らんなぁぁ… 『第三債務者』って、要はこの場合、『ゴルフ場経営会社C』が『第三債務者』ってことか… なんで… 
ゴルフ場にカネを預けてるから、ゴルフ場はカネを借りてる、ってことになんのか!! だから、『第三債務者』! ってことは…
『Aか、またはBがAを代理して確定日付付の証書で、C社に質権設定の通知をすること。』
他の人たちの答えは…」

―AからCに対して確定日付のある証書をもって質権の目的としたことを通知すること。
―Cに対し確定日付ある証書により会員権をBに質権として渡した旨の通知をする必要がある。


●【記述式問題】
Aは知人Bから50万円を借りる代わりに、100万円相当の腕時計を質権の目的物としてBに引渡した。 この質権の設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権設定者が約することができないこととして民法で規定されている事項について、40字程度で記述しなさい。
なお、ここでは質屋営業法等の民法以外の法令については考慮しないものとする。
「全然解らんけど、『善管注意義務』に関することかな。 『約する』って『約束する』ってこと?
『弁済期前において、質権設定者は善管注意義務があるが・・・』とかかな…
解説(口語民法:自由国民社からの参照):
質権設定者=債務者
あぁぁ! なるほど、そしたら『債務者が約束する必要が無い事』ってことか…」

ヒント:
民法第349条
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によ
らないで質物を処分させることを約することができない。
「『弁済として質物所有権譲渡や法外に処分させることを、質権設定者は質権者と約束する必要がない。』
それにしても、『善管注意義務』ってどんな時にいうのか…」

(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第400条 
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
(受任者の注意義務)
第644条 
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(無償受寄者の注意義務)
第659条 
無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
(使用者等の責任)
第715条 
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第717条 
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
(動物の占有者等の責任)
第718条 
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。


●○か×か?
不動産質権者は、質権設定者の承諾がなければ、当該不動産の用法に従って使用・収益することができない
「○。 質権設定者はカネを借りる方、質権者は貸す方… だったっけ?」
正解:
×
■比較認識法
※質権者の権利
●不動産以外→ 質権設定者の承諾がなければ質物を使用・収益することはできない<350条、298条1項>  
●不動産→ 原則として、その不動産の用法に従って使用・収益することができる<356条>
♪太朗の一言アドバイス♪
不動産の質権者は、原則として、不動産の管理費用(固定資産税、管理費等)を負担しなければなりませんし、利息も請求できないことの反射的な利益として、その不動産の用法に従って使用・収益することが認められています。
「恐ろしい事が起こる予感がする…」
http://www.juutaku-jiten.com/030sa/0320si/000383.html
質権設定者…債務者
質権者…債権者
http://kasaihokensitiken.seesaa.net/article/56402653.html
質権者(金融機関)から受けていた融資をご返済され質権が消滅した場合に行います。質権者の承認なしに質権の抹消を行うことはできません。
http://kasaihokensitiken.seesaa.net/article/56401982.html
火災保険の支払いが発生した場合に契約者ではなく金融機関などのお金を貸し手に優先的に保険金を支払うようにするような契約をします。 これを「質権設定付き」の火災保険と言います。
「えぇぇぇぇえ?! やっぱり?! っていうことは、銀行からゼニ借りて住宅ローンなんて組んだら、いざとなれば銀行がその土地を使用・収益できる、ってことか… しかも、火事になったら、保険金は銀行に優先して支払われる… これじゃ、自分の家じゃねぇよ! 『銀行様に住まわしてもらってる』だけじゃねぇか… これ知ってたら、ローン組んで家買う人は減るだろなぁ… 知らぬが仏。」


●【記述式問題】
AのBに対する貸金債権を担保するため、Bの所有する指輪をAに引き渡し、質権を設定した。 ところがある日、Aがこの指輪を持ち歩いていたところ、突然Bがやってきて、力づくでこの指輪を奪い取っていった。 Aが占有を回復する方法として、どのような方法が考えられるか。 40字程度で記述しなさい。
なお、
○方法が1つしかないと判断した場合は、行使(または提起)できる期間とその方法を記述すること。
○方法が2つあると判断した場合には、2つの方法を挙げなさい。(行使(または提起)できる期間は記載しないこと)
「よく解らんけど、とりあえずヒントを見ずに…
『Aは他人の占有物を奪ったBには返還請求でき、また不法に占有したBには返還義務があるので、Aは催告できる。』」

正解:
『占有回収の訴えを提起すること、質権に基づく返還請求権を行使し、占有を回復することができる。(44字)』
解説:
動産質権者は対抗要件が占有であるため、質物の占有を奪われたときは占有回収の訴えによってのみ、その質物の占有を回復することができます(民法353条)。
■第三者に対しての制限
      動産質権者  質権に基づく返還請求 ×
             -------------------------------
             占有回収の訴え      ○
      ---------------------------------------------
      不動産質権者 質権に基づく返還請求   ○
             -------------------------------
             占有回収の訴え      ○
      ---------------------------------------------
ただ、これは第三者に対しての制限なので、債務者または質権設定者に対しては動産質権者であっても質権に基づく返還請求が可能です。 
なので、この場合、占有回収の訴えと、質権に基づく返還請求権を行使することができます。
(動産質の対抗要件)
第352条 
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
(質物の占有の回復)
第353条 
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
「つまり、353条は第三者に奪われたとき、という言葉を暗示してるんだな。」


●【 ア 】〜【 ウ 】に適当な語句を入れてください。
動産質権者は質物の占有を奪われたときは【 ア 】によってのみその質物を回復することができるが、これは第三者に対する制限であり、債務者又は質権設定者が質物の占有を有するときは【 イ 】に基づく【 ウ 】も可能である。
もちろん債務者又は質権設定者が質物の占有を奪ったときは、【 ア 】も提起することができる。
「ア『占有回収の訴え』、イ『質権』、ウ『返還請求』」
正解:
動産質権者は質物の占有を奪われたときは【ア.占有回収の訴え 】によってのみ、その質物を回復することができるが、これは第三者に対する制限であり、債務者又は質権設定者が質物の占有を有するときは【イ.質権 】に基づく【ウ.返還請求 】も可能である。
もちろん債務者又は質権設定者が質物の占有を奪ったときは、【ア.占有回収の訴え 】も提起することができる。
これに対して不動産質権では、対抗要件が登記であるため第三者に対しても質権に基づく返還請求をすることができる。





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