今日の法律家へのお勉強
●○か×か?
『取立債務』(※2)の債務者が『債務不履行』にならないようにするには、『口頭の提供』(※)をしなければならない。(8-35)
「×」
正解:
×
(弁済の提供の方法)
第493条
弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。
ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は『債務の履行について債権者の行為を要するとき』は、『弁済の準備』をしたことを『通知してその受領の催告』をすれば足りる。
通説:
『口頭の提供』が許される場合としては、第一に、給付をなすにつき債権者の先行的協力行為を必要とする『取立債務』等の場合がある。
債権者の取立行為が先行しなければ履行(支払、物の引渡し)ができないからである。
ただし、『不履行責任』を免れるために『提供が必要とされるのは、債務者がすでに履行遅滞にあるときのみ』であり、
このときにもなお、口頭の提供で足りるとされるところに民法493条但書の意義がある(奥田・535頁)。
#
口頭の提供をすべき債務は無い。(※)
※
詳解
口頭の提供とは、
@「弁済の準備をしたことを」
A「通知してその受領の催告をす」ること(493条但書)である。
取立債務では、その内容が例えば『1月10日に債権者Aが債務者Bの住所地に甲動産を取りに来た際にBは甲を引き渡さなければならない』というようなものなので、
債務者としては@「弁済の準備」(493条)をする必要はあっても、契約上1月10日の時点で弁済の準備が完了しているのが当然、
改めて何も言わなくても債権者が取りに来るのが普通なので、わざわざ電話して準備できたからコッチに取りに来い等とA「通知してその受領の催告」(493条)をすべき債務は――いったん履行遅滞になって履行期の約束が反故にされない限り――別に無い。
したがって、「口頭の提供」をしなくても、「債務不履行にならない」(設問文)。
※
2
取立債務とは
『債務者の住所』において履行すべき債務、すなわち債権者が取りに来る債務(我妻・債9,484条参照)。
「債務の履行について債権者の行為を要するとき」(493条但書)の一例。
(弁済の場所)
第484条
弁済をすべき場所について『別段の意思表示』がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、
その他の弁済は『債権者の現在の住所』において、それぞれしなければならない。
取立債務において債務者は、「債権者の現在の住所」(484条)に出向く必要は無いから、
履行期に弁済の準備を整えて、債権者が出向いてこずに履行期が過ぎても、債務者に債務不履行『責任』は生じないが(415・533・1条2項等参照)、
結果として弁済がなされていない以上債務不履行状態にあることには違いない。
したがって、「取立債務においては、債権者が取りに来ない限り、期限を過ぎただけでは遅滞にならない」(内田・III58頁)のではなく、遅滞の事実はあるが「遅滞の『責任』が生じ」(川井3・70頁)ないというべきだろう。
(債務不履行による損害賠償)
第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
『債務者の責めに帰すべき事由によって』履行をすることができなくなったときも、同様とする。
●○か×か?
【いじめによる退職を会社都合に】
Q: 派遣社員として、昨年11月から働いてきましたが、社員によるいじめ・嫌がらせで退職するほかなくなりました。改善を上司に求めてもダメでした。
派遣元会社は退職後1ヶ月たたないと会社都合の離職票は出せない、1ヶ月待てないなら自己都合になると言います。何とかならないでしょうか。
「」
正解:
A: まず派遣元に対して、会社都合と認めよということだけ言ってもなかなか応じな
いでしょう。
派遣労働の場合、1ヶ月待っては会社都合としなさいというのは、厚生労働省の取扱
いですから。
パワハラそのものについて、派遣元と派遣先を相手に、そのせいで退職に追い込まれ
たとして、損害賠償請求をされる中で、求める事項の一つに、退職理由について、せ
めていじめによる退職である(会社都合)とせよという内容を含めることをお勧めしま
す。持ち込む場所は、労働局あっせんや労働審判となります。
仮に、会社が会社都合を認めないにしても、雇用保険について、自己都合か会社都合
かを最終的に判断するのは、職業安定所です。
パワハラで辞めたことが認定されれば、↓の(9)に当たることになり、特定受給有資
格者とされ、失業給付を待たずにもらえます。
http://www.hellowork.go.jp/html/info_1_h3a2.html
ただ、そのためには客観的証拠が必要です。
・証人に一筆書いてもらう。2人以上の承認が確保できれば、特定受給有資格者と認
定されます。証人の氏名については、当該の会社をはじめどこにも漏らすことはない
とハローワークは言います。1人の場合でも場合によっては認めることがあります。
・加害者の言動や上司への相談内容を録音したもの。
・これらがない場合は、なるべく具体的にメモを取ること。今からでも、電話でもい
いから、録音状態にして、加害者や上司にこういうことがありましたよね、と相手に
認めさせるなどが考えられます。
一度、特定受給資格者として認めずに、一般の退職者扱いとされたにしても、異議申
立、さらに不服申立も可能です。
●○か×か?
【不服申立をしなかった場合の再申請】
Q:障害基礎年金2級受給中です。支給決定は、昨年4月です。初診日が7年前で、障
害認定日の診断書を提出しましたが、さかのぼって支給は認められませんでした。不
服申立期限を過ぎていますが、再度の請求は可能ですか?
「」
正解:
A:再度、認定日での請求を行います。再請求で認められた場合には、その請求時点
から最大5年分さかのぼることになります。
不服申立は、決定を知った日から60日以内ですが、再度の請求は、一般的に可能で
す。請求は1度だけとは法律のどこにも書いていないからてす。窓口によっては、不
服申立をしてない以上ダメだという人もいるようですが、私が確認した本庁の見解で
は、請求は一度だけという扱いはしていないということです。
事実何度も、私は再請求をしています。
ただ、全く同じ請求書類を出すだけだと重複請求とされ、実質審議に入らず、前回と
同じ決定を出す可能性が高くなります。
ですから、私が代理申請請求する場合は、重複請求ではない理由書を付けたり、新た
な医師の証明を付けたりします。
まず、進め方としては、前回請求がどうしてダメだったのか、前回請求時の診断書や
申立書などをじっくり分析する必要があります。コピーが手元にない場合は、担当の
社会保険事務所に言って、コピーを出してもらいます。ほぼ全国どこの社会保険事務
所でもコピーは出してくれますが、都道府県や事務所によっては、行政の保有する個
人情報の開示請求という正式な法的手続き↓を取ることを求められる場合もあります
が、この場合も請求から1ヶ月程度でコピーが届きます。
http://www.mhlw.go.jp/jouhou/hogo.html
前回の診断書に足りないところは何か、判定の再検討は必要ないかなどを検討しま
す。
診断書にまったく問題がない場合は、書面に再請求の理由を書いて請求することも考
えられます。
個別の具体的な組み立て、対処法については、かなり専門的になりますので、専門家
に依頼することをお勧めします。
※なお、不服申立を1度(審査請求)または2度(審査請求と再審査請求)を経てダメな場
合も、裁判に進む以外に、新たな証明や証拠により、再度最初から請求することも可
能です。認められた場合は、再請求時点で、最大5年をカウントし、現状での請求(事
後重傷請求)の場合は、認められると請求時の翌月から支給となります。
